毎日仕事や育児に追われる中で、夫が家事に非協力的なことに、孤独や怒りを感じていませんか?「私ばっかり頑張っている」「どうして協力してくれないの?」そんな気持ちが積み重なり、離婚という言葉が頭をよぎるのは、決してあなただけではありません。
この記事では、多くの女性が抱える家事分担の悩みと、離婚を考え始めた時に知っておきたい情報をお届けします。
家事をしない夫に不満を抱えている女性は多い
「夫はソファでスマホ、私はキッチンでバタバタ」「疲れていても『ご飯まだ?』と言われる」「休日も夫は自分の趣味、私は溜まった家事」…。共働きが当たり前になった今でも、家事・育児の負担が妻に偏る「ワンオペ」状態に苦しむ女性は少なくありません 。夫が自分のことしか考えていないように感じ、不公平感や孤独感が募るのは当然のことです。
「家事しない夫」は離婚理由になる?統計データから見る現実
「夫が家事をしない」という不満が、離婚に直結することはあるのでしょうか?司法統計を見ると、「性格の不一致」が男女ともに離婚理由の第1位です。実は「家事をしないこと」そのものが統計上の独立した項目として上位に来るわけではありません。しかし、家事分担をめぐる価値観の違いや、協力しない夫への不満・ストレスが「性格の不一致」や、近年増加傾向にある「精神的虐待(モラハラ)」 に含まれている可能性は十分に考えられます。「生活費を渡さない」「暴力を振るう」といった理由と並び、夫の家庭への無関心さ が、夫婦関係を破綻させる大きな要因となっている実態がうかがえます。
順位 | 夫からの申立て理由(複数回答可) | 妻からの申立て理由(複数回答可) |
1位 | 性格が合わない | 性格が合わない |
2位 | 精神的に虐待する | 生活費を渡さない |
3位 | 異性関係 | 精神的に虐待する |
4位 | 家族・親族と折り合いが悪い | 暴力を振るう |
5位 | 浪費する | 異性関係 |
表:離婚調停申立ての主な動機(令和3年司法統計より)
海外の研究が示す夫の家事分担と離婚率の関係
「夫が家事をすればするほど離婚率が高まる」という衝撃的なノルウェーの研究結果 が話題になったこともありますが、これは「家事に熱心な男性は仕事への意欲が低く、経済的不安から妻が離婚を申し出る」という解釈でした。しかし、これはあくまで特定の国の調査であり、中国国内では反論も多く 、英ロンドン大学の研究では「家事や育児への夫の貢献度が高い夫婦ほど離婚率が低い」という結果も出ています。一概には言えませんが、夫の協力が夫婦関係の安定に繋がる可能性は高いと言えるでしょう。
なぜ夫は家事をしてくれないの?考えられる理由と心理
夫が家事をしない背景には、様々な理由が隠れていることがあります。理由を知ることで、今後の対応策を考えるヒントになるかもしれません。夫側の視点や、社会的な背景も踏まえて考えてみましょう。
「時間がない」「やり方がわからない」は本当?
「仕事で疲れているから時間がない」、「そもそも家事のやり方がわからない」 というのは、夫が家事をしない理由としてよく聞かれます。確かに長時間労働の夫もいますが、共働きであれば妻も同じはず 。また、家事スキルがないことは夫自身にとってもストレスになっている可能性 もありますが、それが責任逃れの言い訳になっていないか見極める必要がありそうです。
根強い「男は仕事、女は家庭」意識の影響
「家事は女性がやるもの」という古い価値観 が、夫の中に根強く残っている場合があります。自分の母親が家事を一手に引き受けていた家庭で育った 場合、無意識にそれを当たり前と思っているのかもしれません。「俺の方が稼いでいるんだから」 と、収入を理由に家事をしないことを正当化するケース もあり、これは単なる怠慢ではなく、夫婦の役割分担に関する根本的な考え方の違いが問題と言えます。
妻への甘え?「言わなくてもやってくれる」という思い込み
結婚当初、妻が頑張って家事をこなしていたり 、結局いつも妻がやってくれる状況 に、夫が甘えてしまっている可能性もあります。「手伝おうか?」という言葉 に見られるように、家事を「妻の仕事を手伝う」ものだと捉え、自分自身の責任とは考えていないのかもしれません。この「お客様」感覚が、主体性のなさに繋がっています。
ダメ出しが怖い?自信のなさやプライドの問題
過去に家事を手伝った際に、妻からやり方を注意されたり、ダメ出しされた経験 がトラウマになり、「どうせやっても文句を言われる」とやる気を失っているケースもあります。家事スキルがないことを恥ずかしく思い 、失敗を恐れて手を出せないというプライドの問題も考えられます。
そもそも家事の必要性を感じていない可能性
部屋が散らかっていても、食事がお惣菜でも、夫は全く気にならない というタイプもいます。妻が「やってほしい」と思っている家事の必要性を、夫自身が感じていないため、協力する動機が生まれないのです。これは価値観の違いであり、家事の分担以前に「どこまでやるか」の基準をすり合わせる必要があります。
離婚を決める前に試したい夫との関係改善アプローチ

すぐに離婚を考えるのではなく、まずは関係改善のためにできることがあるかもしれません。コミュニケーションの方法を変えたり、家事のやり方を工夫したりすることで、状況が変わる可能性もあります。具体的な方法を見ていきましょう。
「察して」はNG!具体的な伝え方と話し合いのコツ
「言わなくても分かってほしい」 という期待は捨て、やってほしいこと、そして「なぜ」協力してほしいのか(例:「私も疲れているから助けてほしい」)を具体的に、冷静に伝えましょう 。感情的に責めるのではなく、「〇〇してくれると助かるな」といった「アイメッセージ」で伝えるのが効果的です 。また、「〇〇やっといて」ではなく、「ゴミ出しお願いできる?」 など、具体的なタスクを明確に依頼しましょう。時には「我が家の戦略会議」 のように、前向きな雰囲気で話し合いの場を設けるのも良いかもしれません。
スモールステップで始める家事分担:任せ方と褒め方
いきなり完璧を求めず、ゴミ出しやお風呂掃除など、簡単なことから任せてみましょう 。夫に「どれならできそう?」と選んでもらう のも有効です。担当が決まったら、「〇曜日のゴミ出しはパパ担当ね」のように、分担を明確にする と、夫も取り組みやすくなります。そして、やってくれたことに対しては、たとえ完璧でなくても「ありがとう、助かった!」と感謝の気持ちを伝えること 。これが夫のモチベーションを高め、結果的にあなたのストレス軽減にも繋がります。
完璧主義は捨てる!家事のハードルを下げる工夫
夫のやり方が自分の基準と違っていても、最初は目をつぶりましょう。細かくダメ出し をすると、夫はやる気をなくしてしまいます。「まずはやってもらうこと」を優先し、完璧な仕上がりは求めない姿勢が大切です。
外部サービスや便利家電の活用も検討しよう
夫婦だけで抱え込まず、家事代行サービスや宅配弁当、便利家電(食洗機、ロボット掃除機、乾燥機付き洗濯機など) を活用するのも賢い方法です。家事の総量を減らすことで、あなたの負担は確実に軽くなります。夫が協力しないなら、その費用を夫に負担してもらうことで、家事労働の価値を理解させるきっかけになるかもしれません 。新しい家電に夫が興味を持つ可能性もあります。
自分のための時間を作りストレスを軽減する
夫が変わるのを待つ間も、あなたの心身は疲弊していきます。意識的に一人の時間を作り、好きなことをしたり、リフレッシュしたりすることが非常に重要です。ストレスを溜め込まないことが、冷静な判断をするためにも必要です。
それでも改善しない…「家事をしない夫」との離婚は可能?
様々な手を尽くしても夫の協力が得られず、心身ともに限界…。そんな時、離婚という選択肢が現実味を帯びてきます。法的に離婚は認められるのか、慰謝料は請求できるのかなど、気になる点を解説します。
「家事をしない」だけでは離婚は難しい?
日本の法律では、夫婦の合意がない場合、裁判で離婚を認めてもらうには「法定離婚事由」が必要です 。単に「夫が家事をしない」というだけでは、法定離婚事由(特に「悪意の遺棄」や「その他婚姻を継続し難い重大な事由」)に該当すると判断されるのは難しいのが現実です。特に、夫が生活費をきちんと入れている場合は、「悪意の遺棄」とはみなされにくい傾向があります。また、専業主婦の場合は、家事分担に関する暗黙の合意があると見なされ、さらに認められにくい可能性があります。
離婚が認められやすくなるケースとは?(モラハラ・DV・別居など)
「家事をしない」ことに加え、以下のような事情があれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が認められる可能性が高まります。
モラハラ
家事をしないことを理由に「お前はダメだ」「誰のおかげで生活できてるんだ」といった暴言や侮辱が繰り返される。
DV
家事分担をめぐる口論から暴力に発展する。
悪意の遺棄
生活費を渡さない、家に寄り付かないなど、協力義務・扶助義務の放棄。
不貞行為
夫の浮気。
長期間の別居
夫婦関係が既に破綻している証拠として、3~5年程度の別居期間が目安とされることがあります。
つまり、「家事をしない」という事実は、それ自体が直接的な離婚理由になるというより、夫婦関係が破綻していることを示す証拠の一つとして考慮されることが多いのです。
協議離婚・調停離婚という選択肢
裁判で離婚を争う前に、まずは夫婦での話し合い(協議離婚)を目指しましょう。夫が離婚に同意さえすれば、理由は問われずに離婚できます。これが最も多い離婚の形です。話し合いが難しい場合は、家庭裁判所の調停委員を介して話し合う「調停離婚」 も有効です。ただし、調停も最終的には双方の合意が必要です。
慰謝料や財産分与はどうなる?
慰謝料
夫が家事をしないことだけを理由に、慰謝料を請求するのは一般的に困難です。慰謝料は、不倫やDV、悪質なモラハラなど、相手の「不法行為」によって精神的苦痛を受けた場合に認められるものです。ただし、協議や調停の場で、解決金として慰謝料的な支払いについて合意することは可能です。
財産分与
結婚後に夫婦で築いた財産は、原則として半分ずつ(2分の1ルール)分けられます。共働きで、妻が長年にわたり家事育児の大部分を担ってきた場合、財産形成への貢献度が高いとして、2分の1以上の分与を主張できる可能性も理論上はありますが、立証は容易ではありません。専業主婦の場合でも、家事労働は財産形成への貢献と見なされ、原則2分の1となります。
離婚を考えるときに準備・検討すべきこと
離婚は大きな決断です。感情的に進めるのではなく、冷静に準備を進めることが大切です。離婚後の生活設計や子どものこと、必要な手続きなど、事前に考えておくべきポイントを整理しましょう。
離婚後の生活設計:住まい、仕事、経済的な見通し
離婚後の生活を具体的にシミュレーションしてみましょう。どこに住むのか 、仕事はどうするのか 、収入はどれくらい見込めるのか(自分の収入、養育費など)、支出はどれくらいか。特に経済的な不安 は大きな問題です。現実的な収支計画を立てることが不可欠です。
子どもへの影響と親権・養育費の問題
子どもがいる場合、離婚が子どもに与える精神的な影響 を最小限に抑える配慮が必要です。親権者をどちらにするか、養育費の金額や支払い方法 、面会交流のルールなどを具体的に取り決める必要があります。養育費については、後々のトラブルを防ぐためにも、合意内容を公正証書 にしておくことを強くお勧めします。
証拠集めは必要?どんなものが役立つ?
もし裁判離婚や慰謝料請求を考えているなら、証拠は重要になります 。モラハラやDVがあれば、その言動の録音・録画、日記、診断書など。夫に家事協力をお願いしても無視・拒否されたやり取りの記録なども、状況証拠として役立つ場合があります。ただし、「家事をしなかった証拠」そのものが法的に強い意味を持つわけではない点に注意が必要です。
別居という選択肢とその注意点
すぐに離婚を決断できない場合、一時的に別居 するのも一つの方法です。お互いに冷静になる時間を持てますし、長期間の別居は法的に婚姻関係の破綻を示すことにも繋がります。別居期間中は、収入の多い方(多くは夫)から生活費(婚姻費用)を受け取る権利があります ので、忘れずに請求しましょう。ただし、無断で家を出たり、子どもを連れて行く際には注意が必要です。
弁護士への相談も視野に入れる
離婚について考え始めたら、一度弁護士に相談することをお勧めします。特に、夫が離婚に同意しない場合、子どもや財産のことで揉めそうな場合、DVやモラハラがある場合は、専門家のアドバイスが不可欠です。法的な見通しや、あなたにとって有利な進め方、交渉の代理などを依頼でき、精神的な負担も軽減されます。
まとめ:一人で抱え込まないで。専門家への相談や情報収集を
家事をしない夫との関係に悩み、離婚を考えるのは、決してあなただけではありません。辛い気持ちを一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家 に相談することも大切です。関係改善の道を探ることも、離婚に向けて準備を進めることも、どちらも勇気のいる決断です。この記事が、あなたが自分自身の幸せのために、次の一歩を踏み出すための情報収集のきっかけとなれば幸いです。